平成21年4月に、私は群馬県立県民健康科大学の学長として着任し、丁度1年が経過しました。そこで、この大学の現状と、今後のビジョンについて私の考えを述べます。今まで40年間にわたって、私はシカゴ大学で医学物理と放射線医学に関する研究と教育に従事していましたので、この経験を活かして本学を大きく飛躍させ、日本一流の、そして世界にも通用する大学にしたいと考えています。この大きな目標を実現するには、多くの方々の支援が必要ですが、特に、学生、同窓生、教職員の皆様の支援と熱意が重要な鍵を握っていると思っています。
着任当初に、私は学生に対して、楽しく勉強できる環境と雰囲気を作ると約束しました。ただし、それを実現するには、誰かが作ってくれるのを待つのではなく、自分たちも積極的に参加して作り出す必要があると教えています。また、教職員に対しては、楽しく仕事のできる環境と雰囲気を作り、更に、各人それぞれの目標を達成し、それぞれの人生において成功するように援助支援するとも約束しています。楽しく勉強し、楽しく仕事ができる環境と雰囲気は、誰にとっても、自分からやる気を出すために必要だと思います。大学での昼食時には、毎日、学生たちと食事をすることにしています。大学を良くするには、学生を知り、理解することが必要だと考えるからです。
本学は、平成17年に4年制大学として開学していますが、その前身の医療短期大学は、平成5年に始まっています。しかし、本学の原点は、昭和27年に誕生した県立看護学院と昭和33年に創設された診療エックス線技師養成所です。更に、昭和45年には県立福祉大学校に成長した長い歴史を持っており、約4000人の同窓生がいます。現在の本学は、看護学部と診療放射線学部から構成されており、昨年から大学院修士課程も始まっています。設置から4年の間に、看護学部と診療放射線学部は、いずれも大学の理念、教育目標を学習内容に構造化した「次世代指向型」と言われる統合カリキュラムを構築し、優れた教育プログラムを完成しています。その成果の一つは、看護師、保健師、放射線技師の3分野での極めて高い国家試験合格率に反映されています。教員による研究活動も活発で、多くの教員が科研費を獲得しています。本学の科研費の獲得件数は、群馬県の4つの公立大学の中で最も多いのは、注目する点と思います。そこで、本学は少数精鋭の専門的な大学と考えることができます。
しかし、本学の現在の問題点は、群馬県立大学であるのに、群馬県民にはほとんど知られていないことです。多くの県民は、本学の前身の医療短期大学を知っていますが、4年制大学に成長した本学のことを良く知らないことはきわめて残念です。そこで、私の最初の目標は、本学を群馬県民に良く知ってもらうことです。このためには、教員による公開講座などの地域貢献を大きく促進するだけでなく、教員と学生の参加によるボランティア活動を拡大することです。地域貢献に関しては、すでに市民公開講座、出前なんでも講座、地域懇談会などを行っています。ボランティア活動には、小児医療センターでの「子供達と遊ぶサークル」、「赤ちゃんサークル」、地域子育て支援センターでの「子育て支援活動」、小学校での「寺子屋・遊びの城ボランティア」、介護老人保健施設群馬老人保健センターでの「夏祭りボランティア」などですが、今後は、地域貢献のためにできるだけ多くの催しを企画し、例えば、敬老会、長寿会、納涼祭などにも学生たちが参加し、地域への貢献を大きく進展させる予定です。更に、このような記事を、上毛新聞や群馬テレビなどのマスコミにニュースとして提供し、多くの県民に知ってもらう積極的な広報活動も始めています。
経済環境、少子高齢化、政治改革、大学改革などの色々な観点から、多くの方は、現在は大変化の時代と考えています。この時期に、本学を大飛躍させるのは、決して容易ではありません。しかし、大学院博士後期課程を設置し、研究環境と施設を充実させ、高度のレベルの研究と教育を実現することは、更に、地域への貢献の重要な要素となると考えます。看護師、保健師、診療放射線技師、医学物理士などの医療従事者のレベルを大きく向上させ、地域の方々に還元することは、私の次の目標です。これを実現するには、本学の教職員による努力だけでなく、県庁および県議会の皆様のご理解とご支援が必要です。そのための基盤となるのは、地域の方々に知っていただき、県民が誇りに感じるような良い大学にすることだと思っています。
私が着任してから、まだ短い期間ですが、大学における若干の改善が実現・進行しています。それらは(1)テニスコートの改修、(2)図書館の土曜日の開館は隔週でしたが、毎週土曜日開館まで改善、(3)大学の閉門時間の延長、(4)体育館の利用時間の延長、(5)桃の木川堤防の清掃と花壇などの整備、(6)学生による学会発表に関する旅費支援の奨励金制度の発足、(7)韓国高麗大学との学術交流協定の発足、(8)本学教員の再任制度から昇任制度を含む新制度への改善、(9)体育館雨漏り対策・修理への予算獲得による次年度計画の成功、(10)大学院博士後期課程への準備開始、(11)本学ホームページやコンピュータなどのIT関係施設装置の大幅な改善のスタート、(12)教員の趣味と特色を生かした多くの新しいサークル活動を作り出し、活性化することなどです。そこで、大学内には、明るい雰囲気が広がりつつあるように感じています。しかし、まだまだ多くの改善が必要です。今後、皆さんと一緒に、本学を大きく成長させるよう努力する所存です。
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地域貢献できる世界に通用する大学への飛躍
2010年04月09日



