診療放射線学研究科
在学生の紹介

博士前期課程

「臨床の課題を深層学習を用いて解決する人材を目指して」
診療放射線学研究科 診療放射線学専攻 放射線画像検査学分野|會澤 伴樹さん
 私は学部生時に行った卒業研究を通し、深層学習を用いた医療画像処理分野の研究に関心を持ちました。この研究の内容をさらに深めると共に専門的な知識や技術を習得し、自身で研究を遂行して課題を解決する力を身につけたいと考え大学院への進学を決めました。
 学部生時の卒業研究では、深層学習を用いた仮想脂肪抑制法に関する研究を行いました。大学院ではこの研究を発展させ、汎用性の高い画像生成ネットワークを確立させるための研究を行っています。MRI検査において脂肪抑制法は、病変内の脂肪組織の有無の確認や対象物の画像コントラスト向上等に有用な手法です。しかし、検査時間の延長による患者負担の増加や磁場の不均一性による欠損やアーチファクトが発生します。仮想的に脂肪抑制画像を生成することが可能となれば、脂肪抑制画像の取得に要していた時間の削減や、磁場の不均一に影響されずに脂肪抑制画像の取得ができ、より効果的な検査が可能になると考えています。
 今後は大学院での研鑽の日々を自己の成長や専門知識の深化において貴重な期間として捉え、論文の執筆や学会での発表に積極的に参加し多くの経験を積みたいと考えています。将来的には、臨床の場で生じている様々な問題について、深層学習を用いた医療画像処理分野の研究を行うことで解決し、医療の発展に貢献したいと考えています。


 博士後期課程

「診療放射線技師に必要なノンテクニカルスキルを教授するための教育を探究する」
診療放射線学研究科 診療放射線学専攻 放射線治療学分野|小松 裕司さん
 これまで私は、診療放射線技師として一般撮影やCT、血管造影検査、MRIなど多くのモダリティを経験した後、放射線治療を専門として24年間臨床に従事してきました。臨床現場での実務を通じて、多くの患者さんと接するうちに、検査や治療に対して不安を抱いたり、潜在的に医療被ばくに悩む方も少なくないことを知り、診療放射線技師として働く上で、患者さんとのコミュニケーションがいかに大切かを深く実感するようになりました。それからは、専門知識・技術を磨くのと同時に、被ばく相談への対応で必要な傾聴を習得するために、カウンセリング関連の資格を取得しました。
 現在は教員として専門学校で勤務しながら、放射線治療、患者心理の理解や対応法、被ばく相談に必要な傾聴技法など、テクニカルスキルとノンテクニカルスキルを教授しています。技術的スキルと人間性を両立させる教育に尽力する中、より深い専門知識を獲得し、放射線技術の発展と患者中心のアプローチを推進するために、大学院での学びが不可欠だと感じるようになりました。具体的には、研究活動を通じて診療放射線技師教育の改善や患者中心のアプローチを模索し、患者さんの苦痛や不安を緩和できるようなコミュニケーション教育のあり方について模索したいと考えています。
放射線技術学はこれから人工知能の発展に伴い、大きな変化を遂げていくことが予想されますが、患者さんへの対応は変化することはありません。今後、大学院での学術的な探究と実践的な経験を通じて、コミュニケーション教育のあり方や必要性を研究し、診療放射線技師教育の発展に貢献したいと強く願っています。