群馬県立県民健康科学大学 > 学生に読んでほしい本 > 「学力」の経済学 中室 牧子【著】ディスカヴァー・トゥエンティワン 2015年【2019年度推薦】
「学力」の経済学 中室 牧子【著】ディスカヴァー・トゥエンティワン 2015年【2019年度推薦】
医療では、研究により科学的根拠(エビデンス)を見いだし、それを臨床現場に応用するというプロセスを踏みます。エビデンスとは、実験や調査などの研究結果から導かれた「裏付け」を意味します。
エビデンスの本質は、「因果関係」にあります。あること(A)をすると、ある結果(B)になるという原因と結果の関係(A→B)を因果関係といいます。Aを行った場合にBが発生し、同時にAを行わなかった場合にはBが発生しないのであれば、因果関係が存在する可能性があります。検証にはランダム化比較試験(RCT)が多く使われます。被験者を同等な2群に分け、実験群にはA(例:新薬)を与え、対照群にはニセ薬(もしくは標準薬)を与えます。2群の結果(B)の違いを「新薬の効果」と考えるわけです。もちろん、個人差・バラツキがあるため、効果の程度は統計手法を用いて判断します。
臨床では、医療スタッフ1人1人が「科学する力」を持つ必要があります。本書は、教育に関する身近なテーマを題材に、研究例を通して答えを見つけようとしています。常識に反する研究結果もあり、面白く読み進めることで自然に科学的な考え方が身につくようになります。
診療放射線学部 教授 柏倉 健一 (請求記号 371.3 ナ)
2020年02月13日