群馬県立県民健康科学大学 > 学生に読んでほしい本 > 考えることの科学 市川伸一 中央公論新社 1997年
考えることの科学 市川伸一 中央公論新社 1997年
市川伸一氏によって書かれた『考えることの科学』は、私たちのものの考え方について解説しています。それは認知心理学の立場から、あることがらを前提として何らかの結論を得るという「推論」の科学的過程について書かれています。
私たちは普段の生活で自分の考えを表現し、他人の考えを理解するときにその過程を意識することはほとんどありません。しかしながら、日本を一歩出て外国で生活するときには「推論」を論理的に意識しながらコミュニケーションする必要性があります。
国際機関で7年間働いた推薦者は仕事に加えてコミュニケーション、言語習得やマネージメントなどについて教育・訓練も受けました。これらは多国籍・異文化の中で長期間働く職員に課せられるものであり、コミュニケーション技術の向上が主な目的です。英会話が上手でも会議等での議論の際に日本人の考えは理解しにくく、他人にストレスを与えることが多いと国際機関などでいわれています。それは「推論」が意識されていないのが要因であるとされています。このため、自分の考えを表現し他人の考えを理解し賛否両論の議論をするときには、意識され、訓練された「推論」が私たちには欠かせません。
将来国際医療活動に興味がある皆さんに現場でより効果的なコミュニケーションを実践するために、意識された「推論」を学ぶ入門書として本書を推薦します。
診療放射線学部 教授 渡邉直行 (請求記号 141.5 イ)
2012年10月05日